序奏

2021年11月28日、初めての金門島

どんな作品にもその来し方があって、本作品もまた然りである。ところがいざ文章を書きながら自分の記憶が曖昧すぎて、思い違いも甚だしい。私は時間系列で過去の資料を探す。ただ小心者の私には、かなり胸の痛む作業ではある。そうか、厳密に言えば4年ともうちょい前から、この作品は動き出していたのか。

私は2021年(令和3年)10月31日、2日遅れて池田暁さんが日本から台湾へ渡航した。台湾への渡航にはワクチン接種が要求され、まさにコロナ流行がたけなわの時期だった。私たちは各自隔離専用のホテルで14日間を過ごし、台湾滞在15日目からは自主健康隔離として、いつどこに移動したかを、常に台湾のCDC(日本の厚生労働省に値する機関)報告する義務があった。表向きと言ってはなんだけれども、池田さんは同年、台北金馬影展(The Taipei Golden Horse Film Festival) に作品出品があり、私は審査員として、かつ企画マーケットでは映画『オールドフォックス』で参加していた。

それにしても金馬映画祭のお陰は大きい。そうでなければ、私の池田さんも当時の状況で台湾へ渡航するのはほぼ不可能だった。特別な用事がない限り、台湾入国のビザは取得できない状況にあった。
11月28日、私と池田暁さん、プロデユーサーの黃詩珊、陳月寛の4人は金門島へ渡った。初めて目にした金門島の風景に、私はああやっぱりと思った。池田さんの脚本の世界観は、ここでしか撮れないだろうな、と。発端には弊社の西村智巳の無責任な発言がある。池田さんの脚本を読むなり、「何だよこれ、世界観が確立しすぎている。しょうがないなあ。いっそ陸の孤島にでも行って撮ってくればいいんだよ」

シナハンと称して我々4人は写真を撮りまくったが、私が後に企画書に使用したのがこの2枚。島の孤独と再生を感じて。共に陳月寛の撮影。

池田さん、2021年12月2日、3日 民宿時苑にて 金門縣金城鎮歐厝

一年後の2022年。金馬創投會議FPP、いわゆる企画マーケットなのだが、その参加で池田あきらさんが描いたイメージポスターがある。
今年12月から映画の日本公開に向けて、このビジュアルが映画チケットのデザインになった。皆さん買ってくださいね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次